1.目的
この基本方針は、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成 25 年法律第 65 号)」(以下「障害者差別解消法」という。)に基づく「文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針(平成 27 年文部科学省告示第 180 号)」に即し、学校法人敬心学園(以下「学園」という。)及び学園が設置する学校等(以下「学校等」という。)における障がいのある学生に対する支援において学園及び学校等の教職員が適切に対応するために基本方針を定めることを目的とする。
2.定義
本基本方針における用語の定義は、次のとおりとする。
- (1)障がい者とは、障害者基本法(昭和 45 年法律第 84 号)第2条第1号に規定する障害者、すなわち、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(難病に起因する障害を含む)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものとする。
- (2)障がいのある学生とは、原則として、前項に該当する学校等に在籍する学生で、本人からの支援の要請があり、障害者手帳や医師の診断書等の根拠資料のあるものとする。根拠資料がない場合、及び前項に該当しない場合でも、学校等における修学に制限を受ける状態にあり、学校等において支援が必要であると認定した場合、支援の対象とする。
- (3)社会的障壁とは、障害者基本法第2条第2号に規定する「障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のもの」であり、その趣旨に鑑み、学校等における教育・研究及びその他の関連する活動全般を営む上で当該学生にとって障壁となるような事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。
3.不当な差別的取扱いの基本的考え方
- (1)不当な差別的取扱いとは、障がいのある学生に対して、正当な理由なく、障害を理由として、教育・研究その他学校等が行う活動全般について機会の提供を拒否すること、又は提供に当たって場所・時間帯などを制限すること、及び障がいのある学生でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障がいのある学生の正当な権利利益を侵害することをいう。なお、障がいのある学生の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別な措置は、不当な差別的取扱いではない。
- (2)正当な理由に相当するか否かについては,個別の事案ごとに、障がいのある学生、第三者の権利利益及び学校等の教育及び研究、その他学校等が行う活動の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、具体的な状況等に応じて総合的・客観的に検討を行い判断するものとし、教職員は、正当な理由があると判断した場合には、障がいのある学生にその取扱いとなる理由を説明し、理解を得るよう努めるものとする。
4.合理的配慮の基本的考え方
- (1)合理的配慮とは、障がいのある学生が他の者との平等を基礎としてすべての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、第三者の権利利益との均衡を失した、又は学校等の教育及び研究、その他学校等が行う活動の目的・内容・機能の維持等に対し過重な負担を課さないものをいう。
- (2)合理的配慮を必要としているという意思の表明は、書面のほか、障がいのある学生が他者とコミュニケーションを図る際に必要な手段により伝えられることで行われる。単独で意思表明が困難な場合には、家族・介助者等が本人を補佐して行う意思の表明又は適切な代弁者による意思の表明も含む。学校等は、障がいのある学生の意思表明を支援し、適切と思われる合理的配慮を提供するよう当該障がいのある学生との合意形成に努めなければならない。
- (3)学校等は、障がいのある学生に提供する合理的配慮について、障害の状態や環境等が変化することに合わせて、適宜、見直しを行う。
5.不当な差別的取扱いの禁止
学校等の教職員は、その事業(教育及び研究)又は事務を行うに当たり、障害を理由として障がいのある学生でない者との不当な差別的取扱いをすることにより、障がいのある学生の権利利益を侵害してはならない。
6.合理的配慮の提供
- (1)学校等の教職員は、障がいのある学生から社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障がいのある学生の権利利益を侵害することとならないよう、当該学生の性別、年齢及び障がいの状況に応じて、社会的障壁の除去の実施について合理的配慮の提供をするものとする。
- (2)前項の意思の表明がない場合があっても、当該学生がその除去を必要としていることが明白である場合には、当該学生に対して適切と思われる合理的配慮を提案するよう努めなければならない。
- (3)第1項の実施に伴う負担が過重であるかについては、一般的・抽象的な理由に基づいて判断するのではなく、個別の事案ごとに、次の各号の要素等を考慮し、具体的な状況等に応じて総合的・客観的に判断されなければならない。
- ①学校等の教育及び研究等へ影響の程度(単位認定基準及び卒業要件の緩和・変更等、学校等の教育・研究の本質的な変更に関わること)
- ②学校等の教育・研究等との関連性の程度(教育・研究等とは直接関係のない学生生活全般にわたる支援の必要性に関すること)
- ③実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)
- ④費用・負担の程度
- ⑤学校等の規模、財政・財務状況の程度
- ⑥学校等の事務・事業(教育及び研究)の規模
7.支援体制
障がいのある学生の支援は、学部、学科及び学生相談室等、学生生活に関わるすべての教職員が行うものとする。
8.相談体制の整備
- (1)学校等は、障がいのある学生及びその家族その他の関係者からの合理的配慮に関する相談に応じるための相談窓口を設ける。
- (2)障がいのある学生本人が、不当な差別的取扱いを受けたと感じた場合において、その相談に応じるための窓口は学校等のハラスメント担当とする。
9.学園の担当部署
合理的配慮の学園の担当部署は学園本部総務人事部とする。
10.情報公開
- (1)学園はホームページ等において本方針を情報公開する。
- (2)学校等は障がいのある学生の支援に対しての相談窓口及び相談受付後の対応フロー等を各学校のホームページ等において情報公開する。
11.個人情報保護
学校等が支援のなかで知り得た情報は、「学校法人敬心学園個人情報保護規程」により、厳重に管理するほか、第三者への開示及び提供は、本人の同意を得た上で行う。
12.研修・啓発
- (1)学園及び学校等は教職員に対し、障がいのある学生へ適切に対応するために必要となる資料等を整備し、障がいを理由とする差別の解消と障がいについての理解の促進を目的に、必要な研修・啓発を行うものとする。
- (2)学校等の教職員が障がいのある学生に対し、正当な理由なく不当な差別的取扱いを行った場合、もしくは過度な負担がないにも関わらず合理的配慮の提供を怠った場合、学校等は当該教職員に対し、必要な研修の受講等を含む適切な対応、指導を行うものとする。
13.理事長の責務
- (1)理事長は、障がいのある学生への差別の解消を推進するため、障がいのある学生に対し合理的配慮の提供がなされるよう努める。
- (2)理事長は、障がいのある学生への差別に関する問題が生じた場合は迅速かつ適切に対処するように努める。
14.基本方針の改廃
本基本方針の見直しは、理事会の承認を経て、理事長が行う。
15.附 則
この基本方針は、令和6年4月1日から施行する。